肉や卵は喜びのもとになる

脳が喜ぶ物質

アラキドン酸は肉や卵に多く含まれる

脳内でアナンダマイドに変わり、喜びや至福感をもたらす

麻薬であるケシ、さらにそこから作られるアヘンなどをまず口にすることはありません。口にしてはいけませんところが、これを注射すると強い快感がもたらされます。これは脳内に麻薬様のエンドルフィンがあり、それと反応する受容体があるからだと分かったのです。

一方、大麻(マリファナ)はどうでしょうか。これも幻想、幻覚を引き起こしたり、快感を起こしたりします。もともと大麻は麻の一種ですから、動物も人もこれを食べることはありません。モルヒネと同じようにマリファナの受容体が脳にあって、それが快感や幻覚を引き起こしているに違いないと考えられています。

このため、マリファナの成分を薬にして、不安や恐怖を取り除くような働きを見出すことがで㌢ないかと考えるのは当然です。麻酔をかけるときに患者は非常な恐怖心を持ちます。

そこでこの恐怖心を取り除くために、まず精神を安定させる鎮静剤を与えるのが普通です。米国のファイザー社は、マリファナの成分の中に鎮静作用を持つ物質がないかどうかを調べました。

しかし、そのような作用のある物質は、いずれも幻覚作用などがあり、薬として使えないということが分かりました。

ですが、マリファナを吸うと気分がハイになるということは、マリファナの成分が脳の組織に反応するということです。しかし、マリファナの元になるのは植物の麻で、動物でも麻を食べることはまずありません。

それなのに、麻の成分に脳が反応するのは、脳内にマリファナに似た物質があり、それと反応する構造、受容体に偶然マリファナが結合するのだと考えられました。

これはモルヒネと同じです。私たちはケシの成分を吸収することはありません。しかしケシの成分のモルヒネや、さらにその構造を変えたヘロインなどに反応し、幻覚、快感などを経験します。これは、モルヒネに反応する受容体が脳にあり、そこにモルヒネが反応するからだと考えられました。その結果そのような受容体が見つかったのです。

ところが、このような受容体と結合する物質があるはずだということで、脳内に存在し、この受容体と結合する物質が探されました。その結果βエンドルフィンなどの脳内麻薬が見つかったのです。

同じようにマリファナの成分と反応する受容体と結合する脳内の物質が探されました。 1992年にイスラエルの学者がこれを見つけ、至福感をもたらすということから、サンスクリット語で「至福」の意味をもつアナンダという言葉を使い、その物質はアナンダマイド(至福物質) と名づけられました。

さらに調べるとこのアナンダマイドはアラキドン酸とエタノールアミンという物質が結合してできていることがわかったのです。アラキドン酸は肉や卵に多く含まれるということは述べました。

これが脳内でアナンダマイドに変わり、喜びや至福感をもたらすのです。 アラキドン酸は、長らく血栓を起こす物質だとされ、敬遠されてきました。さらに、血栓を作るトロンボキサンはプロスタグランディンから作られます。これもじつはアラキドン酸から作られるのです。プロスタグランディンは痛みなども引き起こします。このためにアラキドン酸はむしろ控えるべきだとされてきました。

ところがアラキドン酸は至福物質を作り、心の平静や喜びを生みます。さらにアナンダマイドは血栓を防ぐということも分かってきたのです。つまり、肉や卵を食べることは、心の喜びを生むアナンダマイドを作ることであり、うつの感情を喜びの感情に変えるのです。

抗うつ薬に頼らない

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