ドーパミンのもとを摂る
うつ病を防ぐ物質のもとがドーパミン
セロトニンとノルアドレナリンの両方が有効利用
セロトニンだけを有効利用させる薬を用いてもうつ病に効果がないケース
うつ病は、何に対しても楽しみを見出すことができ
うつ病を防ぐ物質のひとつがドーパミンです。ドーパミンの作用は偶然見つかりました。1950年代に、カナダのマッギル大学にいたオールズ博士は、動物の脳のいろいろな場所に電極を入れ、その部分を刺激する装置を作りました。
動物をある部屋に入れて脳内に電流を流したところ、その動物は、次にその部屋に入れられたときに、前に刺激を受けたときと同じ場所にすぐに行ったのです。
まるで、そこに行けばもう一度その部分を刺激してもらえると思ったかのようでした。そこでオールズ博士は、動物が刺激をしてもらいたがる部分はどこか調べたのです。
すると、脳内の側座核といわれるところを電気で刺激すると、動物は非常な快感を覚えるらしいということが分かりました。そこでオールズ博士は、側座核に電極を入れ、その電極から伸ばした電線を部屋の隅に作ったレバーにつなぎました。
レバーを押すと、電流が流れ、その結果脳の側座核が刺激されるようにしたのです。ネズミなどは部屋を歩き回っていますが、そのうちに偶然そのレバーを押してしまうということがありました。すると電流が流れ、側座核が刺激されます。レバーを押せば快感が得られることを知ったネズミは、絶え間なくレバーを押そうとします。
サルでも同じような実験をしました。するとサルは飲まず食わずでレバーを押すのです。1日に1万数千回も押したという記録があります。この実験で非常に面白いのは、別のレバーを押せば、メスの部屋に入れるようにしておいたことです。
普通はレバーを押してメスの部屋に入り、愛情を示そうとします。ところが、側座核を刺激することを覚えたサルはメスなどに見向きもしなくなり、とにかくレバーを押し続けます。 このようなとき、「ドーパミン括抗剤」というものを投与して、側座核にドーパミンが作用しないようにすると、ネズミはレバーを押さなくなります。
つまり快感をもたらしているのは、ドーパミンによる側座核の刺激だということが分かったのです。
うつ病は、何に対しても楽しみを見出すことができなくなります。このような患者にドーパミンを増やすような薬を与えるとうつ痛が軽減することが分かりました。
薬としては、脳内のドーパミンを増やすといわれるりタリンなどが使われています。厳密にいうとドーパミンを増やすのでなく、ドーパミンの有効利用をする薬です。あたかもドーパミンの量が増えるように見えるのです。 じつは、ドーパミンは必須アミノ酸のフェニルアラニンやチロシンによってからしか作られません。
ですからフェニルアラニンやチロシンを含むような食べ物を摂取することが、気持ちを明るくして、うつ痛を防ぐために必要なのです。
うつ病を防ぐ脳内物質にノルアドレナリンがあります。これもモノアミンのひとつで、これがあると、ストレスに抵抗してがんばろうという気持ちを生みます。ですからセロトニンだけを有効利用させる薬を用いてもうつ病に効果がないような場合には、セロトニンとノルアドレナリンの両方が有効利用できるようにする薬が用いられています。
そして、うつ病の治療に用いられるセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどは、すべてその原料となるフェニルアラニン、チロシンを含む食べ物から摂取する必要があるのです。トリプトファンと異なり、フェニルアラニンなどはたけのこのような植物にも多く含まれています。
フェニルアラニンやチロシンが多く含まれる食べ物
- たけのこ
- バナナ
- 卵
- 魚介類
- カボチャ